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はじめに
採用した人材がいわゆる「モンスター社員」だったことが分かり、悩まされている現場責任者の方は意外に多いのではないでしょうか。わたしもストレスで体を壊し休職するほど、大変な思いをしました。
社内では他からの助けも得られず、こんな業務量の中で自分一人どうやって解決すればよいのかと精神的にかなり追い詰められました。
ネットで調べると「モンスター社員の対応方法」は弁護士や専門家から多数見つかりますが、まずは自分自身が壊れないようにすることが最も大切です。わたしの場合、対象の社員を最終的には退職通知ということで事実上のクビにして終わりましたが、自分自身は体調を崩し休職にまで追い込まれ、失ったものがあまりにも大きかったです。
同じような状況で悩んでいる方へのヒントになればと思い、わたしの経験談と反省点をまとめました。どなたかのお役に少しでも立てれば幸いです。
採用のいきさつ
わたしのケースでは、モンスター社員問題は2023年2月に実施した中途採用から始まりました。
とにかく生産現場の人手が業務量に追い付かず追い打ちをかけるように退職者も続出していたため、1次面接で問題なし・2次面接として対面で役員面談を実施しすんなり採用となりました。
この時点で経歴書(履歴書)から判断できる材料をいくつも見落としていたことがありました。
まだコロナが2類の時期だったため、1次面接はオンラインでした。オンライン面談は時間と場所の融通が利くため便利である一方、応募者の性格や本性は見えずらいのが欠点です。正直なところ、履歴書をもとに当たり障りのない会話をしたなかで、この時点で候補者に対する違和感を感じることはありませんでした。
経歴書で見落とした3つのポイント
今回の反省点はなんといっても経歴重視で面接で本性を見抜けずに、採用に踏み切ったことでした。面接で人間の本性は見抜けないとは分かっていたのですが、逆に履歴書・職務経歴書の内容で気づくべき点が多かったはずです。今となっては遅い話ですが「ここは失敗だった」と考えている3点についてお話します。
高学歴
某有名大学で、英文科の卒業でした。高学歴イコール良い人材というつもりはないのですが、やはり安心感はありました。少なくとも、変な人間ではないだろうとは考えてしまったのです。とくに採用を急いでいたため、リスクを感じることに鈍感だったことは事実です。
そもそもこの人は本当にこの学校を卒業しているのか、今にして思うと甚だ疑問です。
学歴は必ずしも安心材料ではありません。中途採用では卒業証明書を取り寄せることも少ないですから、面接では年齢に関係なく大学時代の話を聞いてみるべきです。基本的なことですが、「どの大学を出たか」ではなく「何をやってきたか、何ができるのか」を聞いて、一緒に働く人材としての素質と人間性を見抜くことが大切です。
上場企業での長期間勤務実績
わたしが安心してしまった経歴のもう一つが、卒業後にプライム上場企業で10年以上働いていたという実績です。やはり学歴とつなげて「一流企業=優秀な人材」と安直に考えてしまった要素でした。
ここで考えなければいけなかったことは、「なぜそこを辞めたのか」という点です。最終面談では「体調を崩した」という回答を得たのですが、「なぜ辞めたのか」は本当に大切な情報です。応募者が選考に不利な事実を隠す可能性もありますが、虚偽の発言は人間性が見えやすくなるので聞くべきポイントです。ここを怠ったことは、自分にとっての大きな反省です。
短期間での転職くりかえし
これは他の方のブログにも書いてある初歩的なことですが、直近の職歴が不自然に短期間で複数の会社を転々としていました。採用当時のわたしは、逆にこの短期間での転職は契約社員やコロナの影響で本人の能力とは関係ない事情だと判断してしまいました。実際、ほかの応募者もコロナの事情でここ3年ほどは職を転々としていたことも珍しくなかったため、特に気に留めなかったというのが現状です。
ここでしなければいけなかったのは、本当にやむなき事情での転職なのか、あるいは本人に問題があってのことではないかと疑って、それを確かめることでした。あとからこの経歴書をみたほかの人からすれば、「それ見たことか」と言われても仕方のないことです。
今回のケースでは、その転職先も名前の知れた企業が多かったので、逆に本人の能力が高くて引く手あまただったのかとも考えてしまいました。
入社後のモンスター社員 5つの症状
入社後、彼はすぐにその社員はすぐにその本性を現しました。導入教育は別の社員が担当していたので、だんだん周りのスタッフから報告を受けて知ることとなっていきました。わたし自身も入社後の処遇に関する説明などで何回か面談はしたのですが、そこでは面接と同様におかしなところは感じませんでした。しかし、仕事を教えようとするスタッフから次々と苦情が上がり、入社1か月後には座席の配置も変えてわたしが直接管理をすることとなりました。
そこから私が直接ほかのスタッフとのやり取りを見たり、わたしから直接業務を指示することで、この問題の大きさがだんだんと実感できるようになりました。
頻繁に独り言を発する
わたしもメールを読みながらブツブツ言うほうですが、この人は異常なほど独り言が多かったです。それもメールを読んだり業務を頭の中で整理するためのものではなく、不平不満を常に周りに聞こえる大きさで声に出しているという状態でした。「なんで私がこんなことを」「こんなバカなことをするのは狂ってる」などという内容です。それがほぼ一日中となると、隣に座っている人はたまりません。
意味がないことをメモに書き続ける
何かを調べているようで一日中メモを書き続けています。それもゆっくり落ち着いてではなく、追い詰められて何かを書き続けている、という様子です。仕事を与えられないため、仕事をしているアピールに感じました。
残していったメモを後日見てみたのですが、汚いというよりも、とにかく「書きなぐった」という文字です。考えながら何かを書いた、学習するための書き方とは明らかに違うもので、このメモを見たらすぐにすぐに「この人、何かおかしい」だと感じさせます。
常に自己正当化し、考えに反することは拒絶する
業務を指導すると、常に指示してきた社員に反発します。「なぜそんな無駄なことをするのか」「それはつまり無意味だとわかっていてやれと言っているのか」など、会社のルール・業務の基礎を教えようとしても自分が理解できないことについては全く受け入れずに反発してくるため、教える人も時間を取られ、すぐに誰も一緒に仕事をしたがらなくなりました。
他人の意見を最後まで聞くことができない
呼び出して面談を何度も実施しましたが、最後までこちらの話を聞くことができず、途中で会話を遮ってきます。「(~について)ですからそれは!...」「(以前に約束したことを)そんなこと言っていません」「(指示されたことを)そんなこと聞いていません」という感じで、ヒステリックに反論してきます。
解雇通知へつなげるには、管理者としてきちんと指導したが改善できなかったという記録を残す必要があります。そのため何度も面談を実施することになりますが、何時間かけてもほとんど相手が一方的にわめき散らして終わってしまうことが多くなります。
被害妄想
入社から2か月を過ぎたあたりから、「自分は前職の同僚からストーカー被害にあっている」ということを話し出しました。完全な被害妄想です。
こちらからの回答としては「自分で警察に相談してください」ですが、「今の職場にはその仲間がいて自分は盗聴されている」など、常識では考えられないような妄想を言い出しました。当然、根も葉もない言いがかりです。
周囲からの孤立(モンスター社員+自分)
前述してきたような勤務態度でいるため、当然ながらモンスター社員とほかの社員の関係は日に日に悪化します。もはや誰も積極的に仕事を教えてくれる人はいません。
悪いことに、孤立していくのはモンスター社員だけでなくそれを世話する係(つまり自分)もです。周囲からは腫物を触るような扱いになり、現場スタッフから「あの人を何とかしてほしい」という自分(管理職)への相談がどんどん増えてきます。一方、人事部門からは「一方的な解雇はできないので、時間をかけて指導していくしかない」と具体的な支援は得られず、「おまえが採用したんだから責任取れ」という姿勢で上司からも助けは得られません。最終的に採用の承認は役員・社長も当然絡んでいますが、現実的にはこのような状況を横目で見ていても積極的に手を差し伸べてはもらえません。
休職へ追い込まれた自分と、その後の復職
このようにモンスター社員の対応は、労力・時間ともに奪われ精神的に激しいストレスを引き起こします。当然、通常の業務がある中でお重荷として加わってくるものなので、業務もおろそかになり職場環境も自分の責任でどんどん悪くなっていく。最悪、モンスター社員のせいでほかの何の問題のない社員が転職したいと言い出す可能性もあります。1日も早く解決しなければという気持ちとどうにもならないもどかしい気持ち、逆にその場から逃げ出したくなる気持ちもあり、どんどんストレスは大きくなっていきます。
このような状況が2か月間続き年度末・新年度の繁忙期も重なって体調はどんどん悪化。わたしは最終的に「うつ病」と診断され休職を余儀なくされました。業務もほかの社員に引き継ぐことができず、モンスター社員問題も途中で投げ出す状態でした。しかし、体がもう動かず出社は不可能と自分でも分かりました。入院点滴、退院後は自宅療養ということで、ほぼ2か月間寝込んだ状態で過ごしました。
※参照記事:
「休職するときに初めて知ったこと8選」
「復職への9のステップと復職してから」
2か月後に復職した際、モンスター社員問題は残念ながら片付いてはいませんでした。しかしわたしがいなくなったら他に対応する人間がいないということで、さすがに上司が仕方なく私の代わりを務めていてくれたようです。復職してすぐに、その社員のことでどう進めていくか説明を受け、わたしが戻った週に動きがありました。
モンスター社員への解雇通知と反応
最終的に上司から直接解雇通知を提示してもらうことができました。人事部同席での会議室に本人を呼び出し、これまで会社からの指示命令に従わなかったことを理由としての解雇通知書を本人に書面で説明します。
自分の休職期間中にどれほどのやりとりが上司とモンスター社員の間にあったのか、人事部からの協力があったのかは自分から確認してはいませんが、正直な意見としては、何で自分が倒れる前に助けてくれなかったのかということです。人事部もわたしの相談には「時間をかけるしかない」の一点張りでしたが、この時は上司とかなり綿密な準備を進めていた様子でした。
本当に時間をかける必要があったからここまでかかったのか、あるいは自分には協力しなくても上司から言われたから人事もすぐに動いたということなのか、そのあたりは今でもよくわかりません。いずれにしても解雇に至ったということでわたしとしては十分だったので、追及はしませんでした。
当然、本人は会社の対応に徹底して反発してきました。主張してきたのは以下のようなことです。
「弁護士を利用して会社を訴える」
よくドラマでも聞く「弁護士に訴えてやる」という言葉です。
以前にも相談したことがあるとも言っていたので、おそらく転職を繰り返す中で同じような事態になったときに、利用したことがあるのでしょう。ただし、過去に利用した弁護士は無料だったそうです。
訴えられても太刀打ちできるよう、これまでのやりとりや暴言はすべて記録してあります。また、あの調子で弁護士に自分の正当性を主張したとしても、こんな性格的に危ないクライアントから「私は悪くないのに会社から一方的に不当解雇された」とあのヒステリックな様子で相談されても、まともに受け付ける弁護士はいないと正直思いました。
「週刊誌へ情報をタレ込む」
「この不当な扱いを週刊誌に情報として流す」とも言ってきました。
よく週刊誌の見出しにあるのは有名会社の内部告発による不正事件ですが、こんな小さな会社で誰も知らない中年の中途社員がクビになっただけの話を、どこの週刊誌が取り上げるというのでしょうか。同じようなことを考える人が他にもいると思いますが、たくさん情報が寄せられる中で目も耳も肥えた雑誌の記者が、彼のたわ言を選んで特集することはどう考えてもあり得ません。
「現金支給の上乗せ」
さきほど言っていた弁護士ですが、無料で対応してくれる範囲は当然限られているらしく、「手切れ金として提示した金額では足りないので、もっとよこせと」ということを平気で言ってきました。自分を訴えるための弁護士を雇うためにお金を上乗せする会社が、この世にあるのでしょうか。まともな神経では考えつかないような言葉で、ここまでくると「この人は病気なんだ」という、逆に憐みの気持ちがこみ上げてきました。
最終的には言いたいことはすべて言わせて、あとはそちらで弁護士に相談するなりなんなりお好きにどうぞという姿勢で通しました。そしてモンスター社員は会議室を出て、そのまま会社を後にしました。
その後1か月ほど経ちましたが、弁護士なり出版社なりからの問い合わせは、わたしの耳には届いていません。
まとめ
モンスター社員の一件をとおして、採用の時点で経験が浅く応募者の本性を履歴書から見抜くことができなかったこと、このようなことが起こるリスクを全く考えずに採用を急いだことを大いに反省しています。
しかし一方で、マネジメント経験と現場の経験がわずかな自分に責任を押し付けられたという絶望感を強く感じました。オンラインで短時間の一次面接の次に上司が直接面談を一対一で実施したうえでの採用ですから、少なくともわたしが休職するような事態になる前に誰かに気付いてほしかったし、誰かに助けてほしかったというのが正直な気持ちです。
モンスター社員の程度や内容はさまざまです。中には職場での指導や話し合い、長期的な教育で改善される人もいるでしょう。
一方、いままさにわたしのように、モンスター社員に極限まで追い詰められている方がいらっしゃいましたら、最後まで自分だけで解決しようと頑張りすぎないでください。わたしも健康を害して、いわば途中で責任を上司へなすりつけて逃げるような形で休職しました。そんな状況になる前に、ギブアップは早めにしたほうが良いです。上司でも人事部でも、とにかく「これ以上は無理なので誰かに代わってほしい」と早めに言ってしまえばよかったと、今は後悔の気持ちです。
このような役回りをさせられる立場の方は、それなりに人生キャリアを持っている方でしょう。そのポジションにしがみつくことを優先して、もっと大事なものを危うくしていませんか?
体を壊して休職するまで頑張っても、戻ってからの仕事は約束されません。早目にギブアップしてたとえ役職を降りたとしても、体を壊して休んでからでも、結果は同じです。同じであれば休職して通院でお金をかけ、傷病手当てでの生活(給料の3分の2)に陥ることを避けたほうが賢明です。何よりも、モンスター社員のせいで苦しむ自分の時間が、人生の中で無駄に過ぎていくのがもったいないです。
大切なこと
- しっかり応募者の本質を見抜けるよう経歴書に目を通し、面接では相手をしっかり見定める目を養いモンスター社員を採用しないようにしましょう。
- 万が一採用後にモンスター社員だとわかったときは、一人で戦わず頼れる上司や人事担当がいれば積極的に相談しましょう。
- 対応しきれなくて社内に味方もいないような状況に追い込まれてしまったら、逃げるのも一つの手段です。自分自身の健康と人生を最優先に行動しましょう。
退職を検討するなら
モンスター社員問題に追い詰められて精神も疲れ果ててしまい、これを機に別の仕事を考えるという方も実際にいらっしゃると思います。それほどこの問題は重く、社内に味方がいない状況ではとても対応できるものではありません。もし誰からも助けてもらえないような環境であれば、あなただけが我慢する必要はありません。採用を任されているような役職の方であればそれなりのキャリアをお持ちだと考えられますので、社会保険制度を有効活用して休職あるいは退職も一つの選択肢です。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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